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コラム
ベストデイの働き方

障害者支援施設や訪問介護を経て、約10年。積み重ねてきた経験が、そっと寄り添う力に変えていく。

管理者
市川 直美さん

大切な人のそばにいたくて、初めて知った“寄り添う気持ち”

中学生の頃、祖母が骨折して、夜間に介助が必要な状況になったことがあります。自然な流れで私も介助に加わるようになり、慣れないながらも祖母のためにできることを考えていました。

当時は、まだ“介護”という言葉の意味も、仕事としてのイメージもまだありませんでした。ただ、「大切な人の力になりたい」「安心してほしい」という気持ちが心の中にあったことを覚えています。

祖母と過ごした時間を通して、“誰かに寄り添いたい”という自分の気持ちに気づきました。

─自分がそばにいることで、誰かの不安を少しでも和らげることができる─そんな実感を初めて持った瞬間でした。

“お年寄りの介護がしたい”─心が動いた、進路の選択

高校卒業後、「まずは福祉の現場を知りたい」と思い、障害者支援施設で働き始めました。さまざまな経験を重ねるなかで、多くの学びがあった一方、「自分は、お年寄りのケアがしたい」と感じるようになりました。

その気持ちは、きっと中学生の頃、おばあちゃんの介助をしたときの記憶が心のどこかに残っていたから。現場での経験を通して、その気持ちが自然によみがえってきたのだと思います。

その後、働きながら通信教育でヘルパー2級の資格を取得し、迷うことなく、老人介護の現場で働く道を選びました。初めて訪問介護に携わったときに、「わたしはこの仕事がしたかったんだ」と、実感しました。

断られても、通い続けた3ヶ月─少しずつ縮まっていく心の距離

訪問介護の現場では、利用者さまから介護を受け入れてもらえないことがあります。  

初めて担当した方も、心を閉ざしていて、「部屋に入らなくていい」と背を向けられてしまうほどでした。

それでも、訪問のたびに笑顔であいさつを続け、どんなに拒まれても相手を責めず、ありのままを受け止めていきました。

そうした関わりを重ねるうちに、少しずつ心の距離が縮まっていったのです。

やがて「今度はこれを一緒にやろう」と声をかけていただけるようになり、お菓子を用意して待っていてくださるまでにー。  

少しずつでも変化の兆しに手応えを感じた瞬間でした。

さらに、ご本人が自ら買い物に行こうとするなど、前向きな変化も見られるようになり、ご家族から「最近、市川さんが来ることを楽しみにしているんです。」と声をかけてもらえたときには、うれしさで胸がいっぱいになりました。

どんなに拒まれても、まずは自分から心を開き、寄り添い続ける。  

その積み重ねが、信頼へとつながっていくのだと改めて感じました。

やる気を引き出すきっかけを一緒につくっていく

日々の関わりの中で、利用者さまの「やる気」を引き出すことも、大切な支援のひとつです。

ただ手伝ったり、代わりにやってあげたりすることは簡単です。  

しかし、あえて「一緒に〇〇してみませんか?」と声をかけることで、ご本人の中に自然と「やってみよう」という気持ちが芽生えることもあります。

たとえば、洗濯物を畳むときや調理の場面で、「よかったら手伝ってくれませんか?」とお願いしてみる。  そうすると、自然に家事に関わるようになり、そこから会話が生まれることもあります。

最初は気が進まなかった方でも、少しずつ関わる中で「できること」が増えていくと、「できた」という達成感や、自分の役割を再確認することにも繋がり、意欲的に取り組んでいただけるようになることもあります。

何をするか以上に、どう関わるかが大切です。  

利用者さまに寄り添いながら、小さな「できた」を積み重ねていくことが、やがてその人の自信や生きがいにつながります。

小さなやる気の芽を見つけて、少しずつ育てていく。  

その過程もまた、介護のやりがいのひとつです。

時には“役者”になる。寄り添い方は一人ひとり違う

介護の現場では、同じ介助内容でも、利用者さまによって対応は変わります。

たとえば、ある方には「孫」として親しみを込めて接し、他の方には「娘」や「お嫁さん」のように振る舞うなど。その人の心に届く言葉や態度を探しながら、立ち位置や距離感を柔軟に変えていく必要があります。

「今日はこういう言い方をしてみようかな」
「こんなふうに声をかけたら安心してもらえるかな」
と、利用者さまに合わせて工夫を重ねる毎日です。

決まった正解があるわけではないからこそ、一人ひとりと丁寧に向き合い、信頼を育んでいくことが、介護の原点だと思います。

その人らしさを大切にしながら、最も心地よい距離感で寄り添っていく。
そこに、この仕事ならではの奥深さとやりがいを感じています。

「ママも好きなことしていいよ」─娘の言葉が背中を押してくれた

介護の仕事に携わる中で、同僚と「いつか自分たちで介護の会社を立ち上げられたらいいね」と会話を交わすこともありました。

そんなとき、ベストデイを立ち上げることを相談され、心が揺れる一方で、正直なところ迷いもありました
このまま突き進んでいいのか、自分にできるのか─
考えれば考えるほど、不安は尽きませんでした。

そんなとき、ふと娘がかけてくれたひと言が、私の心に優しく響きました。
「ママも好きなことしていいよ。チャレンジしてみたら?」
その声にそっと背中を押されて、胸の奥で絡まっていた迷う気持ちが静かにほどけて、
身近な家族に応援してもらえるという安心感が前に進む力に変わりました。

清水の舞台から飛び降りるような覚悟ではありましたが、今は「やってみよう!」という気持ちを胸に、一歩ずつ自分の道を歩み始めています。

「ありがとう」の連鎖が生まれる、風通しのいい職場を目指して

ベストデイでは、利用者さまへの支援だけでなく、スタッフ同士の関係づくりも大切にしています。

介護の現場では、ひとりで判断や対応を求められる場面があり、不安を抱えることも少なくありません。そんなときこそ、「ひとりじゃない」と実感できる環境が、支えになります。

そのため、勉強会や質問ボックスの設置、スタッフ交流イベントなど、スタッフ同士がコミュニケーションをとれる機会を増やしていきます。

日々の会話で伝える何気ない「ありがとう」の気持ちが、信頼や安心を生み出し、自然と広がっていく。そんな風土を育みながら、誰もが気持ちよく働ける職場づくりを進めていきます。

笑顔をつなぐ存在として、これからも現場を支えていく

今まで現場で重ねてきた経験は、今の自分にとって大きな財産です。戸惑いや不安を抱えるスタッフに出会うたび、自分が歩んできた道と重なる場面があります。

だからこそ、同じ目線で寄り添い、安心して働けるよう支えていくことが、自分の役割だと感じています。

ベストデイが目指しているのは、利用者さまだけでなく、関わるすべての人が「今日もよい一日だった」と心から実感できる時間をいっしょにつくることです。その実現には、まずスタッフ自身が笑顔でいられることが欠かせません。

人と人との心の距離を縮め、誰もが心地よく過ごせる時間を支えていく。
これからも現場に立ちながら、笑顔の輪を広げていきたいと思います。

地域とつながり、支え合う関係を育んでいく

介護は、事業所や家庭の中だけで完結するものではありません。地域全体で支え合える社会があってこそ、利用者さまもご家族も、より安心して暮らし続けられると感じています。

日常の中で見守り合い、必要なときにさりげなく手が差し伸べられる。

そんな関係性が築ければ、孤立や不安も減っていくはずです。

そのため、ベストデイの一員として、認知症カフェや地域の交流イベントなど、地域とのつながりを深める取り組みを少しずつ広げていきたいと考えています。

ベストデイでは、利用者さまだけでなく、ご家族や近隣の方々との関係性も築きながら、“開かれた介護”を目指して歩んでいます。

日々のささやかな交流が、信頼や安心を育てる土台になっていくと信じています。